瓦屋根の建物、青いレンガの小道、角ばった壁面とレトロな装飾が調和し、歴史の記憶を語る建築物が整然と修繕され、再び息を吹き返している。1907年に建設された吉林省長春市の「北京大街西歴史文化街区」は、「長春らしさ」に満ちた歴史建築が修繕され、その本来の姿を現した。都市の更新と文化・観光の融合の推進により、このエリアは古い街並みから文化的ランドマークへと転換を遂げた。「労働節」連休中の今年5月には、1日平均10万人以上の来訪者を記録し、5日間の来場者は50万人を超え、長春で最も人気のある文旅スポットの一つとなった。

長春市初の歴史文化街区として整備・運営された北京大街西街区(約4.5万平方メートル)では、百年の歴史を持つ折衷主義建築の景観が完全に保存されている。17棟の修繕と9棟の新築を組み合わせた再生モデルにより、街区は歴史的な風貌を保ちながらも、現代的なファッション要素が融合された。ストリートの両側にはカフェ、書店、美術館、創意市集(マーケット)が並び、多様な文化消費空間を形成。百年の歴史を持つ街並みに、新たな命が吹き込まれている。
連休が終わっても人気は衰えておらず、多くの観光客が「長春の壁」などのインタラクティブ装置で写真を撮ったり、「郵便局カフェ」前のレトロな自転車で懐かしい思い出に浸ったりしている。地元の文化シンボル「氷雪」や「映画」などを取り入れた文創商品(文化創意グッズ)も好評で、地元IPの再開発と若者文化との共鳴を示している。
現在、空・美術館ではポップアートの代表的なアーティスト、アンディ・ウォーホルの展覧会が開催中で、7月下旬まで継続予定。若者に人気の集まるスポットとなっている。一方、「啡必要(ひつよう)コーヒーマーケット」は毎週金〜日曜に多様なコンテンツ(ベーカリー、クラフトビール、文創商品)を提供し、昔の長春の雰囲気と現代の文化感を融合させている。
「琴不倒(揺れない琴)」という巨大なだるま装置や、1980年代を再現した「時光広場」などのランドマークも一般公開され、世代を超えた人々が共有できる都市記憶の場となっている。商業だけでなく、地元文化と外来文化が共に参加できる都市共有プラットフォームを目指している。
プロジェクト責任者・姜潔氏は「街区は単なる文化の器ではなく、生活の延長でもある」と述べ、「文化芸術+現代生活」をコンセプトに、本地化・国際化・専門化・生活化のバランスを追求していると語る。「君至長春」展館、「百年長春」展などは地域の物語に焦点を当て、アンディ・ウォーホル展やストリートアートは国際的視点を取り入れ、文化の深みと時代の美意識を兼ね備えている。
運営責任者・史錦氏は「壁のない都市文化実験室」を目指し、「空間が内容、場面が消費」であるという運営理念を掲げ、歴史と現代生活の対話を深めていると紹介。現在は美術展、体験型イベント、美学空間、地元グルメの4つの要素を柱に展開しており、今後は吉林省近代史展館、張伯駒記念館などの文化施設も順次開館予定。若手アーティストの滞在制作やアートマーケットの形成も進め、都市文化の力を高める。
2024年12月1日には《長春市歴史文化名城保護条例》が施行される予定であり、都市の歴史的文化資産の保護・活用における制度基盤が整備される。「第14次5カ年計画」の最終年に当たり、長春の文旅産業は新たな発展機会を迎えている。北京大街西街区の再生は、百年の歴史を現代の表現で蘇らせ、老舗工業都市としての文化主導型の転換を示す好例となっている。