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土曜日, 2025-07-19
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シンガポールの人口が初めて600万人を突破 新生児は減少、外国人労働者と高齢者が急増

シンガポール国家人口・人材庁が9月24日に発表した「2024年人口概要報告書」によると、2023年6月時点でシンガポールの総人口は約604万人に達し、史上初めて600万人の大台を突破した。前年同期比で約12万人の増加(約2%)となっている。

内訳を見ると、市民数は364万人(前年比0.7%増)、永住者(PR)は54万4,900人(1.2%増)。非居住者人口は186万人で前年比5%増と、人口増加の主な要因となっている。

非居住者の約3分の2は建設や介護などの労働集約型産業に従事しており、残りの3分の1は外国人家政婦、扶養家族、留学生で構成されている。所持している在留資格の内訳は、建設・造船・製造業向け労働許可証が23%、その他業種向け労働許可証が21%、家政婦15%、就労ビザ11%、Sパス10%、長期滞在ビザ・扶養家族ビザ16%、学生ビザが5%となっている。

この5年間で非居住者は22万人増加しており、外国人労働力への依存の高まりが浮き彫りとなっている。

また、移民の増加は安定的に推移しており、2022年には2万3,472人が市民権を取得、3万4,491人が永住権を得た。過去5年間の平均でも、年間約2万2,400人が市民権を取得、3万2,600人がPRを獲得しており、2014~2019年の平均とほぼ同水準だ。

一方で、人口増加の陰で高齢化が深刻化している。65歳以上の市民の割合は10年前の12.4%から今年は19.9%へと上昇。2030年には市民の4人に1人が65歳以上になると予測されている。80歳以上の高齢者もこの10年間で8万5,000人から14万2,000人に増加し、65%もの大幅な伸びを記録した。

さらに懸念されるのは出生率の低下だ。2022年の出生数は2万8,877人で、前年から5.1%減少。出生率は0.97と過去最低を記録した。新型コロナの影響や経済の不安定さ、晩婚化がその主な原因とされる。

結婚件数も減少しており、過去5年間の年間平均は約2万2,800組で、以前の平均2万4,000組を下回っている。初婚年齢の中央値は男性が30.7歳、女性が29歳。また、結婚の36%が国際結婚であり、外国人配偶者の年齢や学歴は過去10年で上昇している。

2013年に政府が発表した白書では、2030年には人口が690万人に達するとの見通しが示されていたが、現在の出生率と市民増加の傾向を踏まえると、2030年時点での人口は約640万人程度にとどまる見込みだ。

シンガポールは今後、経済活力の維持と社会の安定の間で、移民受け入れや少子高齢化対策のバランスが問われることになる。

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