最近、シンガポール政府は永住権(Permanent Resident、PR)の申請および学生付き添いビザ制度に関して大幅な改革とシステムアップグレードを実施しました。これにより、シンガポールへの留学や定住を希望する外国人学生とその家族に、より多くのチャンスと利便性が提供されます。

一、永住権申請政策の全面的なアップグレード
1. 留学生のPR申請における2年の居住要件を撤廃
従来、外国人留学生はシンガポールで最低2年間居住する必要がありましたが、最新の政策ではこの要件が撤廃され、以下のいずれかの条件を満たせば申請可能です:
国家レベルの試験(PSLE、GCE N/O/A レベルなど)に合格していること
インテグレーテッド・プログラム(IP)に在学していること
15歳以上の学生はSingpass経由で申請でき、15歳未満の学生は非Singpass方式でシンガポール入国管理局(ICA)の公式ウェブサイトから申請可能です。
2. 審査期間が6か月以内に短縮
移民局によると、必要書類が揃っている場合、PRの申請は最短で6か月以内に完了する見込みです。従来の平均9か月から大幅に短縮され、申請者の将来設計がしやすくなります。
3. 申請書類の簡略化:Form 4AとAnnex Aの廃止
新制度では、以下の書類のみの提出で済みます:
直近3か月の在職証明
過去6か月の給与明細
過去3年間の所得税申告(海外就業者のみ)
自営業のEP(Employment Pass)保持者は、会社登録証明書、3年間の財務諸表、銀行取引明細書、従業員情報などの追加資料が必要です。
4. 兵役に関する規定の明確化
シンガポール国防省は、学生ビザや親の申請でPRや市民権を得た男性は兵役義務があると明言しました:
Aレベル、ポリテクニックなどを未修了の場合、卒業後に入隊可能
ただし、大学在学中にPRを取得した場合は、学業を中断して先に兵役に就く必要があり、延期は不可
5. 家族情報の詳細提出が必要に
PR申請者は、両親や兄弟姉妹など直系・傍系親族全員の職業、学歴、収入情報を提出しなければなりません。これにより、政府が申請者の背景や経済的潜在力を総合的に評価できます。
6. 居住履歴の提出期間が6年に短縮
従来は過去10年の居住履歴が必要でしたが、これが6年に短縮されました。さらに、海外住所は省レベルの行政区域までの記載で良くなり、申告負担が軽減されます。
7. 個人によるPR申請に結婚証明は不要
既婚者が単独でPRを申請する場合、結婚証明書の提出は不要となります。配偶者と共同で申請する場合のみ必要です。
8. 「SG PR Journey」文化適応プログラム試行
一部のPR申請者は、PR登録前に「SG PR Journey」プログラムに参加するよう求められる場合があります。これはオンライン学習、テスト、地域活動などを含み、シンガポールの歴史・文化・社会制度の理解を深め、新移民の円滑な地域社会への適応を支援する目的があります。
シンガポール内務省の張志賢第二大臣は、「外国人申請者のうち8割以上が最終的にPRの地位を得ている」と述べ、政府が申請者の社会統合能力や将来の貢献可能性を重視していることを強調しました。
二、学生付き添いビザ(LTVP)制度の改革
2024年6月26日より、長期滞在ビザ(Long-Term Visit Pass、LTVP)に関する以下の重大な変更が適用されます:
男性保護者も付き添い申請可能に
従来は母親、外祖母、祖母のみが申請可能でしたが、今後は父親、祖父、外祖父も申請可能となります。
⚠️ 付き添いは「1人制」原則を維持:
留学生1人につき1人の保護者のみがLTVPで同伴可能です。子どもが複数人いても、家族単位で1人までしかLTVPを取得できません。
シンガポール教育省およびICAの統計によれば、2023年1月末時点で学生ビザを保有する外国人学生は79,300人を超えており、この制度改革が家庭の計画にとって非常に実用的であることがわかります。
三、深刻な人材不足に対応、新政策は時勢に応じた措置
シンガポール人力省の2024年第1四半期「労働市場報告」によると、3月時点での国内求人件数は81,900件で、前年12月の79,800件を上回っています。求人数と求職者の比率は1:1.56であり、シンガポールの労働市場には依然として大きな人材ギャップが存在しています。
このため、国際的な優秀人材を迅速に引き付け、申請プロセスを簡素化することは、経済発展と持続可能な人口政策を推進する上で最も重要な課題となっています。