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金曜日, 2025-08-01
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中米経済貿易協議が前向きなシグナルを発信、週明けの世界株式市場は“祝祭”ムードに

スイス・ジュネーブで行われた中米高官による経済貿易協議が画期的な進展を遂げたことで、週明けの月曜日、世界の資本市場は「華々しいスタート」を切った。

中国側の代表である国務院副総理・何立峰(か・りつほう)は11日夜、今回の協議について「率直かつ深い内容で建設的であり、双方は重要な共通認識に至り、実質的な成果を上げた」と発表。アメリカのイエレン財務長官も同時に「重大な進展があった」と認めた。

世界第1位と第2位の経済大国が発したポジティブなシグナルは即座に市場心理を刺激し、ウォール街とアジアの株式市場が連動して上昇。安全資産と外国為替市場は大きく変動し、世界の投資家たちは「関税休戦」が数年にわたる貿易不確実性の終結につながるか注目している。

米株先物が全面高、テクノロジー株が主導

週明けの米国株式市場では、取引開始前から三大株価指数の先物がそろって上昇。執筆時点で、S&P500先物は+1.35%、ダウ先物は+1.05%、ナスダック先物は+1.83%とテクノロジー株が主導。特に半導体や再生可能エネルギーなど中国との貿易に敏感な分野が目立って買われた。

市場関係者は、中米間で半導体輸出規制やクリーンエネルギー協力といった分野で段階的な合意が得られれば、関連産業チェーンにとって明確な追い風となると指摘。Pepperstoneの上級ストラテジスト、マイケル・ブラウン氏は「今回の協議の枠組みは市場の期待を大きく上回っており、これを契機により広範な貿易合意に発展する可能性がある。これはテクノロジー株のバリュエーション回復を支える重要な要素だ」と述べた。

アジア市場も連れ高、人民元建て資産が強含み

アジア太平洋地域の株式市場も上昇基調を維持。日経平均株価は+0.53%で始まり、半導体装置大手の東京エレクトロンは2%以上の上昇。韓国のKOSPI指数は+0.7%、サムスン電子の株価は約3ヶ月ぶりの高値を記録。

中国関連資産も好調で、FTSE中国A50先物は夜間取引でわずかに下落(-0.04%)したが、翌朝には高く始まり、香港ハンセン指数は1%以上上昇。A株市場でも主要3指数が全面高で始まり、創業板指数は+1.4%、太陽光発電や新エネルギー車といった輸出主導型セクターが上昇をけん引。注目すべきは、オフショア人民元が対米ドルで1日あたり150ベーシスポイント以上の上昇を見せ、越境資本フロー改善への期待感が強まっている点である。

ドルの安全資産としての魅力に陰り、インフレ指標がカギに

リスク選好が強まる中、アジア時間においてドル指数は+0.21%の104.3を記録したが、円やユーロなど伝統的な避難通貨に対しての上昇幅は限定的だった。

Pepperstoneのリサーチ責任者、クリス・ウェストン氏は「外国為替市場ではドル買いが先行する動きが見られるが、今週木曜に発表されるアメリカの4月コアCPI(消費者物価指数)に注意が必要だ」と警告。オーストラリア・ニュージーランド銀行のエコノミストは、CPIの前月比上昇率が0.3%未満であれば、年内のFRB利下げ観測が強まると分析。一方で、関税要因が輸入物価を押し上げる場合は、FRBの政策転換が後ずれするリスクがあると指摘した。

市場の楽観ムードに潜む懸念 関税リスクはなお継続

週明けの「全面高」の相場にもかかわらず、専門家の多くは中米関係の長期的見通しに対して慎重な姿勢を崩していない。

ある貿易政策専門家は、前大統領ドナルド・トランプ氏が「再びホワイトハウスに戻れば中国製品に60%の関税を課す」と繰り返し発言している点に注目。彼の影響力によって協議の実行可能性が左右される恐れがあると警鐘を鳴らす。

Barstool創業者で億万長者のデイブ・ポートノイ氏はSNS上で「株式市場は映画のようになるだろう」と楽観的な姿勢を示したが、彼自身も過去にトランプ政権の関税政策で資産の20%を失った経験があり、市場の強気心理と政策リスクの間の微妙な駆け引きを象徴する存在となっている。

現在、世界中の投資家が注視しているのは、ジュネーブでの合意が実行可能なロードマップに転化されるかどうかである。今後の協議が電気自動車関税の免除や越境データ流通といった具体的な課題に焦点を当てられれば、今回の上昇相場にも持続性が見込まれる。一方で、貿易摩擦が再燃すれば、2018年以降続いてきた「期待と失望のサイクル」が再び繰り返される可能性も否定できない。

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