今年に入り、米国政府は貿易分野で相次いで動きを見せ、一連の関税措置は静かな湖に投じられた巨石のように、世界経済に大きな波紋を広げた。現地時間
4月2日、トランプ米大統領はホワイトハウスで「報復関税」に関する2本の大統領令に署名し、貿易相手国に対して10%の「最低基準関税」を設定、貿易赤字の大きな国にはより高い関税を課す方針を明らかにした。
この政策の対象範囲は広く、欧州連合(EU)は20%、日本は24%、韓国は25%の関税が課される見通しであり、伝統的な同盟国すら例外ではない。
さらにさかのぼること3月26日、トランプ氏はすでにすべての輸入自動車に25%の関税を課す大統領令に署名しており、この措置は4月3日に正式に施行された。さらにその影響は米国に輸出されるすべてのコンピュータ製品にも及ぶという。加えて、米国はすでに輸入鋼鉄およびアルミニウムに25%の関税を上乗せしており、主要な産業分野の多くがこの措置の対象となっている。こうした関税政策は世界の貿易秩序に大きな衝撃を与え、各国から広範な注目と強い反発を招き、「関税戦争」を巡る国際的な駆け引きが幕を開けた。
米国の関税強硬策に対し、各国は次々と報復措置を講じ、自国の利益と国際貿易秩序の保護に動いている。

カナダ:対抗関税+WTOへの提訴
カナダは即座に対抗措置を講じた。現地時間4月3日、カナダのカニー首相は、米国が導入した自動車関税に対抗し、「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」に適合しない米国製自動車に対し、25%の関税を課すと発表した。この措置はまさに「目には目を」の姿勢であり、米国の自動車輸出に直接的な打撃を与える。
自動車産業はカナダ経済にとって重要な柱であり、12万5千人の直接雇用、関連産業を含めると50万人近くを支えている。米国の関税政策はこれらの産業と労働者に対する「直接攻撃」と捉えられ、カナダは自国の産業を守るべく動いたかたちだ。また、カナダ政府はWTO(世界貿易機関)に提訴を行い、米国の措置が国際貿易法に違反していると主張、国際的なルールを通じた権利保護を試みている。
欧州連合(EU):報復措置の採決+追加措置の準備
同日、EUも対抗措置に出た。あるEU高官によると、加盟国は4月9日に、米国の25%の鉄鋼・アルミ関税に対する報復措置を採決する予定だという。EU委員会はすでに反制措置案を提示しており、EUの制度上、反対するには「加盟国の合格多数」の明確な反対が必要とされるため、提案は通過する可能性が高い。
フランス政府のプリマ報道官は、EUが準備している第二段階の報復措置について、4月末までに整備が完了する可能性を示唆している。対象は米国製品やサービスの幅広い範囲に及ぶ見通しであり、課税対象にはGoogle、Amazon、Facebook、Apple、Microsoftといった米IT大手が含まれる可能性もあるという。EUのこうした一連の動きは、貿易争いにおける強硬姿勢と長期的な戦略計画の表れであり、複合的なレベルで米国に対抗しようとする意図が読み取れる。
イギリス:諮問プロセスの開始
イギリスも迅速に対応した。4月3日、英政府は、米国の英国製品に対する貿易制限措置への対抗として、報復関税導入に向けた1ヶ月間のパブリック・コンサルテーション(諮問)を開始することを発表した。
英ビジネス・貿易相のジョナサン・レイノルズ氏は、政府が企業から意見を募り、報復措置が英国経済に与える影響を精査するとともに、対象となる製品範囲を検討していると述べた。このプロセスは、英国が米国関税問題への対応において、自国企業の利益を慎重かつ包括的に考慮していることを示し、貿易争いの中で自国の権益を守る決意を明らかにしている。
今回の米国主導による関税戦争は、世界の貿易秩序に大きな衝撃を与えただけでなく、各国にとっても経済的複雑性の中で生き残りを模索する契機となって