近年、アメリカの留学環境の不確実性が高まる中、香港は教育の質、就職の見通し、そして地理的な優位性を活かし、国際的な学生の新たな留学先として注目されています。
香港教育局と2025年の最新の申請データによると、香港の大学への中国本土学生の申請数は前年比で37%増加し、一部の人気専攻ではアメリカやイギリスの名門大学の入学競争を超えるまでになっています。香港教育局の蔡若蓮局長は最近、メディアとのインタビューで、国際的な情勢の変化が香港の高等教育に「歴史的なチャンス」をもたらし、海外からの学生が香港に進学する傾向が顕著に増加していると語りました。

アメリカの留学政策の厳格化:ビザと費用の二重のプレッシャー
アメリカの留学政策の厳格化が、学生たちが「東進」する直接的な動機となっています。2023-24年度、アメリカのF1ビザの拒否率は41%に達し、10年ぶりの高水準となりました。特に人工知能やバイオメディカルなどの敏感な専攻の審査が厳しく、SNSでの発言や過去の学術的な協力背景、さらには研究経験がビザ拒否の理由になることもあります。ビザ官による「移民傾向」の主観的な判断が申請リスクを高めているのです。また、アメリカ優先の経済政策により、国際学生の就職競争は激化しており、STEM専攻のOPT(実習許可)が36ヶ月に延長されても、職場の数の減少によりそのメリットが相殺されています。結果として、卒業生がアメリカで就職する難易度が大幅に上昇しています。
さらに、留学費用が高額であることもアメリカの魅力を減少させています。州外の公立大学の年間学費は約2.7万ドル、私立名門校では4.8万ドルを超え、食費や保険などの費用を加えると、年間の総支出は約7.2万ドル(約55万香港ドル)に達します。それに対して、香港の大学は学費の上昇率が10%-25%程度であるものの、全体の費用は依然として競争力があります。たとえば、香港大学のビジネススクールの修士課程は学費が約19.8万香港ドルで、アメリカの同様の学校の1/3に過ぎません。
香港留学の優位性:教育の質と政策の恩恵がダブルで後押し
香港の大学の世界的な競争力は、学生を引き寄せる中心的な要素となっています。2025年のQS世界大学ランキングでは、香港大学が世界17位に躍進し、香港中文大学、香港城市大学はそれぞれアジア6位、10位にランクインしています。香港の大学のカリキュラムは中西教育理念を融合させており、ビジネス、フィンテック、人工知能などの先端的な専攻は業界のニーズに密接に関連しており、卒業生の就職率は3年連続で70%以上を記録しています。フィンテック分野では初任給の中央値が月4万香港ドルに達しています。
政策面では、香港は引き続き有利な信号を発信しています。非本地卒業生の香港留職ビザ(IANGビザ)は、卒業生が無条件で12ヶ月間香港で就職活動を行えることを許可し、7年後には永住権を申請することができます。STEM分野やフィンテックなどの不足分野に対して、政府は最大50%の学費免除や給与補助を提供しており、卒業生の平均初任給は月2.8万香港ドルに達しています。さらに、香港の八大大学の非本地生の受け入れ上限が40%に引き上げられた後、関連する入学者数が大幅に増加しており、国際学生による香港の教育への高い需要が証明されています。
多様な進学パス:高考統一入試と国際課程の二本立て
香港の大学は異なるバックグラウンドを持つ学生に柔軟な進学ルートを提供しています。高考(中国本土の大学入試)を通じて進学する場合、香港中文大学や香港城市大学は中国本土の高考提前批に参加しており、一本線以上の成績を取れば追加の面接なしで申請できます。独立した申請ルートでは、高考の成績と面接による選考が行われ、医学、法律などの人気専攻には一本線の120点以上、英語の科目が120点以上であることが求められます。国際生用のルートはさらに広範で、IBやA-Levelなどの成績を持つ学生は直接申請できます。IB総得点30以上またはA-LevelでA*AAを達成した学生はトップ専攻に進むチャンスがあります。
学業成績がやや劣る学生にとって、副学士課程は「逆転」への道です。高考の二本線の学生は、2年間の副学士課程(学費6万〜12万香港ドル/年)を経て学士課程に進むことができ、GPAが3.0以上であれば香港の八大大学や海外名門大学に編入することが可能です。蔡若蓮は、香港は今後数年で約1.3万の新たな宿泊施設を追加する計画を明らかにし、民間と公共のパートナーシップモデルを採用して宿泊問題の解決に取り組むと述べました。