1970年代以来、シンガポールの総人口は着実に増加してきました。しかし、この傾向はパンデミックの期間中に逆転し、大規模な人口流出が起こりました。
公式データによると、2019年の570万人から2022年には540万人へと急減し、わずか3年で30万人が減少しました。総人口は2015年以前の水準にまで後退しています。

人口減少に加えて、高齢化と少子化の問題もますます深刻化しています。統計によれば、今年6月時点でシンガポールの65歳以上の国民は総人口の19.1%を占めており、国民5人に1人が高齢者という計算です。
この傾向は今後さらに顕著になると予測されており、2030年には4人に1人が65歳以上になると見込まれています。第一太平戴維斯(Savills)の報告によれば、2033年には世界の50歳以上人口の割合が28.4%に達し、その中でシンガポールの50歳以上人口は全体の48%を占め、世界で4番目に高い比率になるとされています。
同時に、新生児の出生率は過去最低を記録しました。シンガポール首相府傘下の国家人口・人材庁が発表した『2023年人口概要』によると、2022年の新生シンガポール国民の出生数は30,429人で、前年に比べ約4%減少しています。
居住者の合計出生率は1.04にとどまり、史上最低を更新しました。高齢化と少子化は、現在のシンガポール社会が最も緊急に対処すべき課題の一つです。
人口減少の直接的な影響は労働市場に現れ、人手不足が深刻化しています。あらゆる業界が人材の確保に奔走しており、パンデミック後の企業再建には人的資源が鍵となっています。
一方で、多くのシンガポール人が海外移住を選ぶ中、世界中のエリートたちがシンガポールに殺到しています。政府が自営業者向けの就労ビザ(EP)の条件を緩和して以来、富裕層が次々と移住し、中間層は子どもの教育を目的として移住するなど、移民ブームが巻き起こっています。
『2023年人口概要』によると、今年の非居住者人口は前年より13.1%(約20万人)増加し、総数は176.3万人に達しました。永住権取得者もこの1年間で34,493人増え、総数は2019年のピークを上回る水準まで回復しました。
これらのデータは、パンデミック後のシンガポールが世界の人材にとってますます魅力的な存在となっていることを如実に物語っています。昨年よく聞かれた「世界中から人がシンガポールに殺到している」という言葉は、まさに真実なのです。