“閑散期”が一転“ゴールデンタイム”に、東京・大阪・京都が人気上位を独占
2025年の清明節(中国の伝統的な休日)が幕を閉じた今、例年なら観光の閑散期であるこの時期に、異例とも言える旅行ブームが到来した。日本では桜の見頃と4月13日開幕の大阪万博という二大イベントが重なり、中国からの観光客を中心に、人気観光地の混雑ぶりが目立っている。

旅行予約サイト「Ctrip(携程)」のデータによると、清明節期間中、大阪と京都を訪れた中国本土の旅行者の予約件数は、前年同期比でそれぞれ70%以上、80%以上の増加。同様に「Tongcheng(同程旅行)」では、日本の人気お花見スポットのホテル予約数が前年より120%以上増加した。
“桜のラストシーズン”と“万博のスタート”が絶妙に重なったことが、市場の需要を継続的に引き上げている。特に、4月13日に開幕する大阪万博は世界中からの関心を集めており、中国の大手旅行会社・春秋旅行によると、万博入場券付きの大阪6日間自由旅行商品はすでに完売状態。宿泊検索の熱度(検索件数)は前年の約5倍に達し、京都・神戸・奈良などの近隣都市への旅行熱も急上昇中だ。
文化と自然が融合する関西エリアでは、京都の伝統文化、田辺市の熊野古道なども注目を集め、田辺市の検索熱度は昨年比9倍に。よりディープで個性的な旅が中国人旅行者の間で新たなトレンドになっている。
また、日本南西部の四国地方では、4年ぶりに「瀬戸内国際芸術祭」が4月18日から開催予定。芸術祭開幕を前に、高松市の検索熱度は80倍以上、小豆島はなんと14倍近くにまで急増。Airbnb(愛彼迎)は「アイランドホッピング×アートの旅」と題し、芸術・文化・写真の3つのテーマで宿泊体験ルートを発表。中国人ユーザーに向けて、瀬戸内海の中心部にあるアート宿泊施設を無料で提供し、自然と芸術の共生体験を提案している。
航空業界も積極的に対応。吉祥航空は4月18日から、上海・南京から神戸への直行便を新たに運航開始し、同社の日本路線は14本に拡大。1日最大で40便を運航する予定だ。春秋航空も、4月末までに天津・揚州・南京などから大阪への直行便を次々と再開し、日本直行便の就航都市を9都市に、週あたりのフライト数は80便を超える見通しとなっている。
携程のアナリストは、「ビザ優遇政策やイベントの多発により、日本は検索ランキングのトップを維持している」と分析。中国人旅行者の関心は、かつての“観光地めぐり”から“文化体験・関心駆動型”へと変化しており、深い没入型の旅へのニーズが増しているという。