華僑・華人は、海外における中華文化の伝播者であり、中国の現代化建設の参加者であり、中国の平和統一の推進者でもあります。記者が全日本華僑華人社団連合会(以下「全華連」)の何徳倫会長と何度も対話を重ねた中で、彼は常に「在日華僑・華人にとって“枝葉となる支え”を提供し、新世代華僑のアイデンティティを育てることが最も重要な使命である」と強調しています。

海外の華僑は中華民族大家族の重要な一員であり、どこに行こうとも、どれほど遠く離れようとも、民族の根と文化の魂は変わることはありません。何会長によると、全華連は設立当初の8つの団体から現在では北海道から沖縄まで日本全国をカバーする110以上の団体へと発展し、在日華僑華人社会において最大規模・最多会員数を誇る連合会となっています。
華文教育を深め、中華文化を広める
中華文化の重要な担い手・伝播者として、海外の華僑華人は中華文化および中国の声を世界に届ける上で重要な力となっています。今日では、中華文化を広めるとともに、華僑が祖国の文化への帰属意識や民族的誇りを高めることが、ますます重要になっています。
「全華連は一貫して華文教育の推進に力を入れてきました。海外に住んでいても、多くの親は子どもに中華文化を継承してほしいと願っており、華文学習は在日華人にとって切実なニーズです。中国語は中華文化の根ですから、私たちは日本全国での青少年への中国語教育の普及に取り組んでいます」と何会長は語ります。
「そのために、全華連は華文教育委員会と華文教育基金会を設立し、日常の活動の中に教育を根付かせるよう模索してきました。今の目標は、東京に全日制の華文国際学校を設立することです。どこにいても、魂の中に“故郷の種”が残るように、中国文化の記憶を受け継いでほしいのです。」
文化・芸術交流で在日華人の郷愁を慰める
全華連は、在日華僑華人が祖国を思う心をつなぐ存在であり、過去数年間、傘下の100以上の団体と共に、文化・教育・スポーツなど多方面にわたる交流イベントを開催し、在日華僑社会および日本社会に深い印象を残してきました。
「毎年2回、中国の国慶節と春節(旧正月)を祝う大型イベントを開催しています。中でも春節の“全華連版春晩(春節聯歓晩会)”は、在日華人が心待ちにしているブランドイベントとなっています」と何会長は語ります。「国慶節は祖国の誕生日、春節は中国人にとって最も重要な日です。海外にいる華人にとっては、さらに特別な意味を持ちます。」
「佳節(祝日)になると故郷への想いが強くなります。日本にいる華僑華人は祖国や故郷、家族と離れているため、時には寂しさを感じることもあります。そんな中で、数千人の華僑華人が集う大規模イベントは、在日華人社会に強い感動をもたらしています。」
長年にわたるオンライン・オフラインでの経験を通じて、全華連が主催する芸術公演は、今や「金字招牌(お墨付きのブランド)」とも言える存在に成長しました。イベントには中日両国の政界・経済界の要人が参加し、日中友好関係の証として数千人以上の参加者を集めています。
何会長は「2024年の春晩も新たな試みがありました。このようなイベントは今後も継続し、さらに充実させていきたいと思います。これは単なる娯楽ではなく、在日華僑華人に喜びを届けると同時に、日本社会に私たちの活力とポジティブなエネルギーを伝える重要な機会なのです」と語っています。
在日生活40年、「故郷の味」への変わらぬ愛
近年、いわゆる「中華料理」ブームが日本で高まりを見せており、東京近郊では中華レストランの数も増え続けています。「1985年に来日した当時、本格的な中華料理は横浜中華街でしか食べられませんでしたが、当時の料理は日本人向けにアレンジされていました」と何会長は振り返ります。
「でも今は違います。池袋西口には中華料理店が軒を連ねており、まるで“小さなチャイナタウン”のようです。本場の味が楽しめる店が増えており、中華食文化が日本社会に広がってきたと実感しています。」
吉林省長春市出身で、日本に暮らして40年が経った今でも、「故郷の味」への愛着は変わらず、「やはり一番好きなのは東北料理。酸菜(漬物)と春雨の煮込みや、東北風の雑炊などが一番、私の“中華の胃”を満たしてくれます」と笑顔で話します。
また、日本人の友人にも中華料理ファンが多く、「池袋に焼肉(中国風バーベキュー)を食べに通う日本人の友人が何人もいて、『この味がたまらない』と病みつきになっているんです」と、楽しそうに語ってくれました。