第26回中国(晋江)国際靴業博覧会および第9回国際スポーツ産業博覧会(通称「靴博会」)が4月19日、福建省晋江市で盛大に開幕し、世界70以上の国と地域から516の企業が参加しました。本展示会は、晋江の完備された産業チェーンを背景に、同地域の靴服産業がグローバル展開を進める姿を世界に示す場となっています。

「現在、国際情勢には多くの不確定要素がありますが、アメリカ市場は我々が次に重点的に開拓するターゲットです。現地チームの立ち上げも積極的に進めています」と、カルメ(KELME)スポーツの国際部責任者・呉冬蘋氏は語りました。
晋江靴博会は、「世界靴業界の晴雨計」および「風向計」とも称されており、業界動向の発信地であると同時に、中国製造業が世界進出する縮図でもあります。本年の展示会では、海外企業の積極的な参加、技術含有量の向上、企業の信頼感の強さという三つの特徴が際立ち、晋江靴服産業の強靭な回復力が示されました。
晋江の靴服産業がここまで発展した背景には、完備された産業チェーンの存在があります。たとえば港益グループは、廃棄されたPET飲料ボトルをほぼ100%再利用する循環型経済モデルを実現しており、ボトル本体・キャップ・ラベルすべてが原材料として新製品に再生されます。
副総経理の陳華山氏によると、同社はさらに植物繊維分野にも進出し、リネンや竹繊維の中底布を量産。加えて、高い熱伝導性と保温性を持つグラフェン中底布の開発にも成功しており、環境配慮と先進技術を兼ね備えた製品を提供しています。
「晋江は一つのチェーンであり、ネットワークです。この産業チェーンの完備こそが、我々の発展の原動力なのです」と陳氏は語ります。

かつて晋江の靴は「7日間靴」と揶揄されていましたが、技術革新によってその評価は一新されました。福建凱基高分子材料有限公司の張峻豪氏は、「その呼び名には納得できませんでした」と振り返ります。

現在、張氏の会社が開発した新素材は、従来の設備でも超臨界製法レベルの靴底を製造可能にしています。「技術の進歩は晋江の発展の鍵ですが、根本には『絶対に諦めない』晋江人の精神があります」と強調しました。
的確なブランド戦略と効果的な海外マーケティングも、晋江靴服ブランドが世界市場で成功する重要要素です。呉氏によると、カルメ製品はすでに60カ国以上に輸出されており、サッカーやバスケットボールなどの主要分野に注力。アジアカップ、ラ・リーガ、プレミアリーグなどの国際的スポーツイベントに協賛することで、ブランド認知度を高め、市場拡大を進めています。
靴服以外でも、晋江の傘や食品などの特産品は急速に海外市場に進出中です。先進的な製造技術と革新的なデザインにより、晋江の傘は欧米市場で人気を博し、地元のスナック菓子はユニークな味と高品質管理で東南アジアや中東市場で高い評価を得ています。こうした「晋品」は、越境ECや国際展示会を通じて国境を越え、世界中の消費者に「晋江製造」の魅力を届けています。

複雑な国際情勢の中でも、晋江の産業は依然として力強く成長を遂げています。中国政府の「一帯一路」構想が沿線諸国との経済協力を推進しており、晋江靴服産業にとっては国際市場開拓の追い風となっています。
本年の靴博会には、フィリピン、ベトナム、タイ、イタリアなどからの出展を含む70以上の国と地域から、516の国内外企業が参加し、晋江ブランドの世界展開に新たなビジネスチャンスを創出しました。

モンゴル国ウランバートル市から来た中小企業振興センターの主任、唐師・熱格則徳瑪(タンシ・レグゼドマ)氏は、15人の代表団を率いて初参加。「我々中小企業が必要とする材料や設備が多数見つかりました。協力の可能性は非常に高い」と語ります。中国の新技術や新素材の応用を学びたいとの意向を示し、「来年はモンゴルの企業を連れて、カシミヤと羊毛で作った靴を晋江で展示したい」と述べました。
呉冬蘋氏の言葉の通り、「晋江の靴服産業は数十年の技術蓄積を経て、確かな実力を築き上げてきました。今こそ『製造』から『ブランド』へ、そして『世界』へと飛躍する時です。」