2024年4月18日、中国国家電影局と中央広播電視総台が主催する「中国映画消費年」が北京で正式にスタートしました。その一環として、「映画で中国を旅する」映画テーマの観光列車プロジェクトも同時に始動。4月19日には、第1便の「伊春号」観光列車がハルビン駅を出発し、映画と観光の融合による革新的な実践が新たな段階に突入しました。

この「伊春号」観光列車には、シンガポールやマレーシアなどからの100名以上の外国人旅行者が乗車し、映画と観光を融合させた体験型の文旅(文化+旅行)ツアーが展開されました。列車は、中国鉄路ハルビン局集団有限公司、映画チャンネル融媒体センター、1905电影网、伊春観光発展集団の共同企画により実現。国家電影局と中国国家鉄道集団による「映画+観光」融合の成果を具体化したものです。
「映画で中国を旅する」プロジェクトは、映画の文化的リード力と消費喚起効果を最大限に発揮し、新しい観光消費シーンを創出することで、人々の旅の満足度と幸福感を高めることを目的としています。車内には映画要素が随所に取り入れられ、鉄道の文化的な魅力を高めるとともに、地方の観光資源の発信にも貢献しています。

「伊春号」では、旅客は中国東北地方の壮大な景色を堪能しながら、映画をテーマにした様々な文化活動にも参加可能。車内には映画上映ゾーン、映画音楽鑑賞エリア、映画関連グッズ展示コーナーなどが設けられ、東北を舞台にした『雪豹和她的朋友们(スノーレパードと仲間たち)』『大辽太后(大遼の皇后)』などの映像作品が紹介されます。さらに、東北地方に関連した映画音楽も流され、旅全体を映画の世界観に包み込みます。
また、車両内には「映画で中国を旅する」テーマポスターや撮影地の紹介が飾られ、映画の魅力とともにその舞台となった土地への理解が深まります。さらに、観賞会や映画クイズ、文化体験などのインタラクティブな活動も実施され、旅をより一層楽しめるものにしています。
このような新しい取り組みは、国内外の旅行者から好評を得ています。東南アジアから参加した旅行者たちは「映画を観ながら風景も楽しめる、まったく新しい体験だった。旅がより楽しく、思い出深いものになった」とコメント。今後もこのような列車が中国各地に展開されることを期待する声も上がっています。

「伊春号」以外にも、4月13日には「映画で旅行する」パンダ列車が成都から出発しました。この列車は雲南省の臨滄、建水、蒙自などを経由し、『鬼吹灯之云南虫谷』『米花之味』といった映画のロケ地を巡ります。銀髪世代(シニア層)を対象に『五朶金花』『阿詩瑪』などの懐かしの名作も上映され、感動と郷愁を誘います。
「映画で旅行する」パンダ列車と「映画で中国を旅する」伊春号の2つの観光列車は、映画と観光の融合をより深いレベルへと押し上げ、地方文化の発信と観光産業の活性化に寄与しています。雲南省臨滄市の文化観光局関係者は「映画列車によって臨滄が多くの人に知ってもらえた。これは非常に魅力的な文旅の新しい形であり、今後も多くの人が映画の世界から現実の文化空間に踏み出すことを期待している」と語りました。

2024年、中国映画はより多様な形で人々の生活に入り込んでいます。世界的に高まる「中国ブーム」と共に、外国人旅行者も映画を通じて中国を知り、訪れるようになりました。今回の映画テーマ観光列車は、文化の発信と観光の革新が交差する象徴的な取り組みであり、中国鉄道の文旅融合の成果を示すとともに、映画という“光”を通じて世界との心の架け橋を築いています。
今後も、国家電影局と鉄道部門は「シニア旅」「紅色旅(革命遺跡観光)」「研修旅」など、さまざまな市場ニーズに対応したテーマ列車を開発し、特色ある文旅産業の質の高い発展を推進していく予定です。映画は、もはやスクリーンの中だけの物語ではありません。それは、時間と空間をつなぐ旅そのものであり、流れる列車の中で、新しい時代の中国の物語を生き生きと語り続けています。