シンガポールの観光業が歴史的なブレイクスルーを迎えました。シンガポール政府観光局の最新データによると、2024年2月に中国からの観光客は32.7万人に達し、前年同月の3.53万人と比べて8倍以上の増加となりました。これは、シンガポール観光産業の回復を力強く後押しする原動力となっています。

ビザ免除政策が奏功 中国人観光客が「爆発的増加」
この急増の背景には、2024年2月9日より施行されたビザ免除政策があります。この政策により、中国の一般旅券を所持する旅行者は、ビザなしで最大30日間シンガポールに滞在可能となりました。この措置は中国人観光客の入国ハードルを大きく下げ、観光ブームを加速させる要因となっています。
ちょうど世界の旅行業界がパンデミックから徐々に回復している時期に導入されたことで、シンガポールはアジア、さらには世界の観光市場において一段と存在感を高めています。
中国が最大の観光客送出国 全体の22%を占める
観光局の統計によると、2024年2月のシンガポールへの総入国者数は約144万人で、前年同月比で50%の増加となりました。そのうち、中国人観光客が全体の22%を占める32.7万人で最多となり、観光市場の主要な牽引役となっています。
なお、中国以外の主な観光客の出身国は以下の通りです:
インドネシア:19万人
マレーシア:10万人
さらに、オーストラリアやイギリスなど伝統的な市場も安定した成長を示しました。

滞在日数はやや減少 物価高が影響か
注目すべきは、観光客の数が増加したにもかかわらず、平均滞在日数は減少傾向にある点です。前年同期の3.79日から、今年2月は3.46日へと約9%減少しました。
業界関係者によると、この変化はシンガポールの生活費および宿泊費の上昇が影響している可能性が高いとのこと。特にホテルの料金や日常の物価の高さが、多くの旅行者にとって負担となり、滞在を短縮する要因となっているようです。
年間観光見通しは楽観的 1,600万人来訪を予測
シンガポール政府観光局は、2024年の年間観光客数を1,500万人〜1,600万人と予測しており、観光収入は約270億シンガポールドルに達する見込みです。
この観光回復の波の中で、中国人観光客は非常に重要な役割を果たしています。現地経済への貢献のみならず、シンガポールが国際観光地としての地位を維持・強化する上でも不可欠な存在です。
今後もビザ免除政策による旅行意欲の喚起に加え、観光資源やサービス施設の更なる最適化を通じて、中国をはじめとする世界各国からの旅行者のさらなる誘致が期待されています。