吉林省は、長白山地域の高品質な漢方薬原料の強みを活かし、地元企業のマカオ市場進出を後押ししている。このほど、同省の企業がマカオでの生産販売資格を初めて取得する成果が上がり、国際展開に向けた足がかりを築いた。

吉林統泰実業集団の自社ブランド「九参官」の黒参健康食品が、マカオ当局の厳しい審査を経て、現地での生産許可を取得した。吉林省の企業が同資格を取得するのは初めてで、全国でも現時点で唯一とされる。
マカオの製品認証は基準が非常に厳格で、「九参官」ブランドは、成分検査から包装の適合性まで、数次の審査をクリアした。この成功は、長白山産の漢方薬原料がマカオ市場への正式な通行手形を手にしたことを意味し、中国の健康食品ブランドが海外市場に進出するための重要な突破口となった。
統泰実業の成功に続き、吉林省の他の漢方薬企業もマカオおよび粤港澳大湾区市場への進出を加速させている。今年5月には、東方紅西洋参薬業(通化)股份有限公司などが吉林・香港・マカオ経済貿易交流会に参加。香港の商工会議所などと交渉し、東南アジアなどアジア太平洋市場への輸出で協力意向を確認した。同社は既にマカオに販売拠点を設け、現地で着実にシェアを拡大している。
また、今年1月の「吉林・香港・マカオ人参産業交流会」では、力神薬業(吉林)有限公司もマカオとの協力に意欲を示し、現在具体化を進めている。同社は「専精特新」(専門特化・独自技術)に認定された企業で、紅参蜜膏などが「長白山人参」ブランド認証を取得するなど、製品力の高さが強みだ。こうした動きから、吉林省企業によるマカオ市場への本格的な集団進出が始まったとみられる。

背景には、企業の品質へのこだわりがある。「九参官」の原料は、無農薬・無化学肥料・無重金属汚染を実現した同集团の自社栽培人参。製造工程では、「九蒸九曬」 という伝統技法と現代のバイオ技術を融合させ、付加価値を高めている。さらに、マカオ科技大学など現地の研究機関と連携し、製品の科学的根拠と安全性を強化。これらの取り組みが、厳しいマカオ市場の門戸を開く原動力となった。
漢方薬を代表する製品の一つである黒参がマカオ市場への正式な切符を手にしたことは、吉林省の健康ブランドが国際展開を目指す上で一つのモデルケースとなった。統泰実業集団は今後、マカオを足がかりに粤港澳大湾区への販路を拡大し、段階的に世界市場を開拓していく方針。吉林省も引き続き地元企業の国際展開を支援し、長白山の恵みと漢方薬文化を世界に発信していく。




