カザフスタン政府は、トカエフ大統領が2024年の一般教書演説で掲げた開発戦略に基づき、国内製造業者および中小企業の発展を後押ししている。産業の高度化とビジネス環境の改善に注力し、さまざまな支援策を講じている。

金融・非金融支援の拡大と国産品調達比率の引き上げ
カザフスタン政府は今年初より、中小企業に対する金融・非金融支援を強化している。特に政府調達においては、国産品の優先購入が進められており、現在、4,834品目において国民待遇が適用されず、国産品が優先されている。
また、企業の生産能力や市場の見通しを後押しするため、長期契約および事前購入契約制度を導入した。2025年上半期までに、政府が締結した調達契約は10.6万件以上に達し、その総額は3,334億テンゲとなった。これは2024年同期比で2倍以上の成長を示している。
国家商品カタログプラットフォームの設立とデータ自動検証
市場秩序の強化と情報透明性向上の一環として、国家商品カタログの整備が最終段階にある。このプラットフォームは2026年1月1日に本格稼働し、既存の「STKZ証明」および業界認証制度に代わる体制となる。
新プラットフォームは、政府データベースを通じた自動検証機能を備えており、腐敗リスクを軽減し、企業の実生産能力の有無を検証できる。企業はQRコード付きの無料オンライン証明を取得でき、生産活動が確認された企業のみがカタログに掲載される仕組みである。
段階的な市場規制政策と行政サービスの効率化
2021年以降、新たな市場規制政策が段階的に導入されている。2024年4月には「ビジネス環境改善法」が成立し、国家の規制機構が強化され、1万件以上の不要な行政要求が廃止された。これにより、2019年と比較して2024年の企業に対する規制負担は58%軽減された。
さらに、2024年12月30日に可決された「取引および起業法」には、企業活動に関わる制限や禁止措置には検察庁の承認が必要となる「検察フィルター」制度も導入され、企業や投資家のコンプライアンス負担を軽減している。
許認可制度においても、透明性と処理効率の向上が進められている。2025年末までに、関連部門が各種許可・認可の審査要件の全面見直しと申請プロセス・期間の最適化を実施する予定である。
中小企業数の継続的な増加とデジタル化サービスの推進
これらの政策改革の成果として、現在カザフスタンの中小企業数は212.5万社に達し、2024年比で4.7%増加した。中小企業のGDP比率は0.9ポイント上昇し、38.6%に。総生産額は18.7兆テンゲで、前年比11.4%の伸びを記録している。
政企関係は「規制指向」から「協働パートナー」へと転換しつつある。2025年4月1日には、企業家向けのデジタルアシスタント「eGov Business」のモバイルアプリがアップグレード完了し、企業登録、税務カレンダー、電子証明書の申請、デジタル署名取得などの機能が追加された。これにより、中小企業の行政手続きの自動化・モバイル化が進展している。
また、開発基金「DAMU(ダム)」は、引き続き中小企業向け融資支援を強化しており、貸付保証や金利補助などの政策ツールを通じて、企業の資金調達、マーケット拡大、成長潜力向上を支援している。




