(【アジア財経インサイト】記者 元音 東京発)
複数の情報筋が確認したところによると、中国外務省アジア局の劉勁松(りゅうけいしょう)局長は11月18日、遼寧省大連市にある日系企業を訪問し、「日系企業が中国で安心して事業を継続してほしい」という積極的なメッセージを直接伝達した。

劉局長は同日、北京で日本の外務省アジア大洋州局の金井正彰(かないまさあき)局長と会談した後、直ちに、長年にわたり日系企業が中国で重要な集積地としてきた大連市へ向かった。
報道によると、劉局長は現地の日系企業の施設を視察した際、企業の経営状況や直面する困難について詳細に聞き取りを行った。さらに、立ち去る際には企業の責任者と抱擁を交わしたという。
アナリストは、この行動が「政治的な対立」と「経済協力」を明確に区別し、外交・安全保障上の摩擦が製造業やサプライチェーンの安定に波及することを避ける意図がある、と指摘している。これは、外国企業の不安を払拭するための「外資安定化戦略」の一環であり、中国が引き続き実務的かつ開放的な姿勢を維持することを示すもので、市場に安心感を与えたことは間違いない。
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大連の日系企業は、中国の政策による影響を受けておらず、むしろ税制優遇や産業協力などの面で継続的に恩恵を受けている。
2021年、大連の実行ベース外資導入額は前年比160%増と、全国で最高の伸び率を記録した。
2022年には、日系企業代表が地元のビジネス環境を公に評価している。
2025年には、日本経済団体連合会(経団連)が自発的に対中経済貿易協力の深化を求め、同時期に中国が製造業の外資参入規制を全面的に撤廃したことで、大連の日系企業にとっての重要性が一段と高まった。
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経団連会長、駐日中国大使と会談し商務交流継続を要請
共同通信の報道によると、2025年11月28日、日本経済団体連合会(経団連)の筒井義信会長が、三菱、三井、住友などの日本の中核財閥を代表し、呉江浩駐日中国大使を訪問した。筒井会長は、2026年1月に代表団を率いて訪中し、経済貿易交流を実施したいとの要請を正式に行った。その核心的な訴えは、「高市早苗政権の誤った行動によって、日中経済貿易協力の大局を揺るがさないように」という点にある。
また、共同通信が12月2日に報じたところでは、消息筋の話として、日本の超党派議員連盟である「日中友好議員連盟」が、年内に議員団を派遣したいとの意向を中国側に伝達しているという。




