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土曜日, 2025-12-06
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吉林省の人参産業、「高品質低価格」の壁を打破し、質の高い発展へ

吉林省の通化、白山、延吉などの地域では、科学技術を筆とし、デジタル化を墨とし、官民連携を橋として、人参産業の変革が着実に進んでいます。これにより、「吉林人参」が長年抱えてきた「品質は高いが適正な価格で評価されない」という課題の解決が進み、ブランド価値の向上、サプライチェーンの拡大、市場開拓という、質の高い発展への新たな道が切り開かれています。

科学技術による基盤強化:「高品質」の根幹を築く

輝南県様子哨鎮の山参(野山参)基地では、樹齢25年の林下参が、科学的な栽培法と生態系の優位性を融合させた成功例となっています。現地では「自然環境で15年以上成長」という厳格な基準を設け、きめ細かな管理で品質向上を図り、産業チェーンの拡大に向けた強固な基盤を築いています。

技術革新と研究開発は、付加価値向上の鍵です。輝南長龍生化薬業の複方活脳舒カプセルは省級の「スマート化・デジタル化」プロジェクトに選定され、万通薬業はCNAS認証を取得した自社実験室を活用し、複数の人参系医薬品の臨床試験を推進。「良質な人参を良質な薬へ」と転換を進めています。また、長龍源生物科技は2万ムー(約1,333ヘクタール)に及ぶ林下参資源を背景に、健康食品の研究開発に注力し、原料から高付加価値製品への進化を推し進めています。

デジタル管理の導入:「適正価格」への道を拓く

白山市の李研副市長は、「かつて『人参がダイコン並みの価格で取引されていた』根本的な原因は、統一された基準と管理体制の欠如にあった」と、産業の課題を指摘します。これを受けて白山市は「7+3」産業体系を構築し、全国に先駆けた「デジタル人参」 の実現を推進。地理情報の付与、生育状況のモニタリング、収穫後の追跡管理などを通じて、1本1本に「デジタルID」を付与し、生産地から消費者の手元までの全行程を追跡可能にしています。2025年までに、600ムー(約40ヘクタール)の高規格な種苗生産場と13の栽培基地を整備し、5つの重要技術の開発と16の研究成果の実用化を推進し、品質管理の基盤強化を図る計画です。

延吉市では、吉林韓正人参有限公司が高度な抽出技術で付加価値を高め、人参化粧品の年間輸出額は8,000万元に達しています。また、延辺鵬程人参交易市場は「実店舗とECサイトの連動」というビジネスモデルで、年間取引額50億元を突破。日本、韓国、東南アジア市場をつなぐ重要なハブとして機能しています。

官民連携の強化:発展の「特急レーン」を整備

行政の積極的な支援が、企業に自信をもたらしています。通化市は「書記との約束・困難解決直通車」や「一企業一専門チーム」といった制度を通じて、企業が直面する課題に迅速に対応。万通薬業の責任者は、「行政が主体的に支援してくれるため、研究開発や生産拡大に、より専念できる」とその効果を語ります。

白山市は投資誘致において「協力への誠意」を明確に示し、「康養産業集積区」の形成を打ち出して、華潤和善堂、同仁堂などの有力企業を育成しています。さらに、まもなく開通する沈白高速鉄道を契機に、「人参と文化観光」の融合事業を推進していく方針です。

延吉市は「一核両翼三区」の構想を中核に、東北アジア最大級の人参取引流通センターの構築を目指しています。そのために「三つの最高水準のサービス」(最良の政策、行政サービス、要素保障)を提供し、金融機関の参画を呼び込むなど、地元企業への総合的な支援を約束しています。

連携と協働:新たな産業の未来図を共に描く

吉林省民営企業連合会の呉大力会長は、科学技術とデジタル化が人参産業の価値連鎖を再構築し、官民連携が産業発展を推進する原動力であると述べています。連合会は今後、各地域の技術成果と投資誘致政策を集約し、「人参産業プロジェクトバンク」を設立。金融機関と企業のマッチングを促進し、より多くの民間企業が吉林省に根ざし、人参産業の発展の果実を共有できるよう後押ししていく計画です。

科学技術の力と官民の連携という二つの推進力のもと、吉林省の人参産業は、「育てる技術」の段階から、「売る戦略」「ブランド力の構築」の段階へと移行し、真の「高品質かつ適正価格」という産業への転換と高度化を成し遂げつつあります。

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