(アジア・ウォッチ記者 元音 東京 11月1日報道)日本の化粧品大手、資生堂は11月10日、最新の業績見通しを発表し、2025年12月期(2025年会計年度)の純損失が520億円(約24億人民元)に達する見込みだと公表しました。これは、同社の創業150年以上の歴史の中で過去最大の年間赤字額となり、以前の予想(60億円の黒字)を大きく下回る結果となり、日本のビジネス界に衝撃を与えました。

データによると、資生堂の今年1月~9月の純売上高は約6,938億円で、前年同期比で4%減少しました。営業利益は、前年同期の21.8億円の黒字から、333.5億円の赤字に転落。第3四半期累計の最終赤字は439億円に膨らみ、グループ全体の経営が厳しい局面にあることを示しています。
今回の歴史的な巨額赤字は、主に米国事業の不振に起因しています。中でも、2019年に約900億円で買収したクリーンビューティブランド「ドランクエレファント(Drunk Elephant)」の業績悪化が大きく響きました。同ブランドは競争の激化とサプライチェーンの問題により収益が大幅に落ち込みました。今年1月~9月のコア営業損失は75億円に拡大し、グループにとって最大の重荷となっています。
資生堂は、過去にも「ベアミネラルズ(Bare Escentuals)」や「ローラ メルシエ(Laura Mercier)」などの海外ブランド買収計画の失敗により、度々巨額の減損損失を計上しており、そのグローバルM&A戦略に構造的な問題が長期的に存在していることが明らかになりました。アナリストからは、同社が海外ブランドを効果的に統合できず、相乗効果(シナジー)を生み出せなかったこと、そして戦略上の連続的なミスが最終的に巨額の損失につながったと指摘されています
損失を食い止めるため、資生堂は一部の海外研究開発拠点を閉鎖する予定です。同時に、新たな2030年までの中期経営計画を打ち出し、今後は日本本社がグローバルブランド戦略を一元的に主導し、財務管理の強化と大規模な構造改革を推進するとしています。
資生堂の藤原憲太郎社長は、「痛みを伴う構造改革は、新たな成長へ向かうために必要なプロセスである」とコメントしています。しかし市場は、同社が連続的な業績予想の下方修正という苦境から脱却できるかどうかについて、依然として慎重な見方を示しています。現在、同社の株価は2,000円付近で推移しており、2018年に記録した最高値9,250円から大幅に下落した状態が続いています。




