中国に依存する日本製造業の「剥離」

(ロヤ・東京)

7月30日、日本の内閣府は2026年度の実質GDP成長率見通しを、1月時点の1.3%から0.9%へ下方修正した。同じ日、経済メディアには一見無関係に見える三つのニュースが並んだ。

パナソニックは9月までにマレーシアでのテレビ生産を停止する。ヨネックスはバドミントンのシャトルを2年間で3度目となる値上げに踏み切る。世界知的所有権機関(WIPO)の報告では、ソフトバンクが生成AI関連特許2985件で世界首位に浮上した。

三つの出来事は、偶然重なった個別のニュースではない。むしろ、掘り下げて見るべき一つの経済現象を映している。

一つは「失われつつあるもの」、一つは「値上がりしているもの」、もう一つは「追いかけているもの」である。これらを重ねると、日本製造業がいま置かれている複雑な状況が浮かび上がる。伝統的な強みは薄れ、コスト優位は失われ、新興分野では追い上げを急いでいる。

産業面:日本家電の相次ぐ退場

パナソニックは9月までにマレーシアでのテレビ生産を停止し、2027年3月に工場を閉鎖する。削減される従業員は約400人に上る。これにより、同社の自社工場によるテレビ生産拠点は台湾の一カ所だけになる。

パナソニックの撤退は、孤立した事例ではない。ソニーはテレビ事業をTCL主導の合弁会社に移管しており、TCLが51%を出資する新体制は2027年4月に正式に始動する。東芝もすでにテレビ事業の主導権を中国企業に譲っている。パナソニックも中小型の低価格テレビについては、TCLや受託生産企業に製造を委託している。調査会社BCNのデータによれば、「中国系」メーカーは日本のテレビ市場で6割のシェアを握る見通しだ。

日本家電の「退場」は、一日にして起きたものではない。東芝、シャープ、ソニーから、そして今、パナソニックへと、日本ブランドは「所有者」から「ブランドを貸す側」へ変わりつつある。ソニーは「BRAVIA」ブランドを残すが、研究開発、製造、サプライチェーンはTCLが主導する。これは「日本のテレビがだめになった」という話ではない。むしろ、日本製造業がもはや自らテレビを作る必要がなくなったということだ。中身を中国に委ね、看板だけを残す道を選んでいるのである。

マクロの統計とミクロの出来事は、互いに裏付け合っている。7月22日、日本の財務省が発表した2026年上半期の貿易統計によれば、輸出は前年同期比13.7%増の60兆6600億円、輸入は10.7%増の61兆6750億円だった。貿易赤字は1兆100億円に達し、半期ベースで10期連続の赤字となった。半導体など電子部品の輸出は力強く伸びたが、エネルギー輸入コストの高止まりによって赤字構造は変わりにくい。輸出は増えている。輸入も増えている。それでも輸入負担はなお重い。日本製造業の構造的な苦境は、貿易収支にはっきり表れている。

コスト面:中国サプライチェーンの波及効果

ヨネックスは、バドミントンのシャトルを2年間で3度値上げした。AS600は1筒6380円となり、約3割上昇した。シャトル価格の急騰は2023年初めに始まり、2024年7月に加速し、2025年8月には過去最高水準に達した。主な原材料である水鳥の羽根が不足し、中国の水鳥養殖環境が悪化したことが主因とされる。中国市場でも、2025年にはヨネックスのAS-05EXシャトルが1ダース210元から350元へ値上がりした。

一つのシャトルの値上がりの源流は、中国農村部の養殖場にある。中国サプライチェーンの変動は、世界中のバドミントンコートに波及する。値上げの波は代替品の研究開発も促し、日本企業は否応なく中国依存を下げる解決策を探し始めている。ヨネックスは値上げしたいから値上げしているのではない。上流を自ら制御できないから値上げせざるを得ない。そこに、グローバル化時代の日本製造業が抱える典型的な難しさがある。

コスト圧力は、シャトルに限らない。7月、円相場は一時1ドル=163円台まで下落し、1986年以来およそ40年ぶりの安値水準となった。円安は輸入エネルギーや原材料のコストを押し上げる。日本の総務省のデータによれば、6月のコアCPIは前年同月比1.6%上昇し、58カ月連続でプラスとなった。エネルギー価格の上昇が主な押し上げ要因である。内閣府も7月30日の経済見通しで、原油価格の上昇が経済の重荷になるとの認識を示した。

中小企業の状況はさらに厳しい。2026年上半期、円安を原因とする日本企業の倒産は45件に達し、前年同期比32.3%増となった。2022年に関連統計が始まって以降、上半期としては過去最多である。倒産は主に中小・零細企業に集中している。円安に人件費の上昇、物価高が重なり、中小企業の経営環境は一段と悪化している。

技術面:日本は追い上げ、中国は先行する

WIPOの報告によれば、2014年から2025年までの生成AI関連特許で、ソフトバンクは2985件を保有し、世界首位となった。同社の特許の大半は2025年に集中して公開されており、AIインフラ、大規模言語モデル、データセンター分野での大規模な戦略展開を映している。ソフトバンクは2023年から社員向けに「生成AI活用コンテスト」を実施し、2026年1月までに26万件を超えるアイデアを集めた。2025年には、社員一人につき100体の「AIエージェント」を開発することも求めた。

ただし、上位10社・機関のうち6社・機関は中国企業または中国の機関である。中国は、生成AI特許の最大の出願国として圧倒的な優位を保っている。ソフトバンクは首位に立ったが、トップ10の過半は中国勢だ。日本はAI特許で一点突破を見せている一方、中国は広い領域で成果を積み上げている。ソフトバンクの2985件の特許の多くが2025年に集中公開されたことは、日本がAI分野で追い上げる側にあり、急いで遅れを取り戻そうとしていることを示す。特許件数は、そのまま産業競争力を意味するわけではない。ソフトバンクのAI実装能力と、中国のAI産業化のスピードとの間には、なお大きな距離がある。

【短評】

中国製造の台頭に、日韓は異なる道を選ぶ

中国製造の力強い台頭に対し、日本と韓国はまったく異なる対応を選んでいる。

日本の選択は「戦略的な縮小」である。上流を守り、下流からは退く。前述の通り、日本は家電分野で大きく後退している。しかし、上流の材料と精密装置ではなお優位を守り抜こうとしている。半導体材料では14品目で世界首位に立ち、塗布・現像装置などでは世界シェアが70~90%に達する。日本の論理は明快だ。最終製品は作らない。しかし、すべての最終製品が日本の材料と装置を必要とする状況を維持する、という発想である。

韓国の選択は「正面からの競争」である。半導体に賭け、最終製品でも踏みとどまる。韓国は退いていない。サムスン電子とSKハイニックスはHBMメモリーで世界市場の約8割を押さえ、韓国企業は自動車市場でも中国、日本と正面から競争している。ただし、その代償も明らかだ。2026年上半期、韓国の半導体輸出は輸出全体の42.3%まで上昇し、経済は「外は熱く、内は冷たい」状態を示している。輸出は好調だが、内需は弱さが続く。韓国経済人連合会は、競争力低下の傾向は2030年が近づくにつれてさらに強まると警告している。

二つの道はともに進んでいるが、どちらも確実な答えを持っているわけではない。ただ一つ確かなのは、東アジア製造業の競争地図がすでに根本から変わったということである。

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