海外患者に「まず相談、それから渡航」を
——ABC国際医療・福田孟士社長インタビュー
ロヤ=東京
日本での治療を希望する海外患者の多くは、三つの壁に直面する。適切な医療機関が見つからない、診療資料が要件を満たさない、正式な受け入れが得られない――。本紙記者はこのほど東京で、ABC国際医療の福田孟士社長に、同社が患者のこうした壁をどう乗り越える手助けをしているのか話を聞いた。

旅行チケット事業から医療コーディネートへ
ABC国際医療は2011年に設立され、当初は旅行チケットの手配を手がけていた。福田社長は「交通や宿泊を手配するなかで、日本で診療を受けたいという外国のお客様が増えていきました。本当の課題は航空券ではなく、言葉、医療情報、予約、費用、そしてビザでした」と振り返る。
同社はこれを機に、日本の医療機関情報の提供、医療通訳・翻訳、手続き支援、渡航手配へと業務を広げた。福田社長は、旅行サービスが解決するのは「どう行くか」だが、医療サービスでは「受け入れてもらえるか、両国の医療体制をどうつなぐか」まで解決しなければならないと指摘する。「当社の強みは、医療コーディネートと旅行サービスを一体化し、患者さんの医療ニーズを実際の受診計画に落とし込めることです」
確かな資格と透明なプロセス
日本での受診はビザ制度と密接に関わる。外務省の規定では、医療滞在ビザの申請にあたり、日本の医療機関が発行する証明書を取得し、要件を満たす身元保証機関を通じて手続きを行う必要がある。ABC国際医療は「東京都知事登録旅行業第3-6522号」の旅行業登録を持ち、医療滞在ビザの身元保証機関(登録番号A-011)でもある。
サービスの流れも明確だ。患者はまず相談して病状を伝え、次に医療資料を提出する。同社が資料を整理・翻訳し、日本の病院と連絡を取る。病院が初期評価を終えた段階で、患者は可能な診療プランと概算費用を知ることができる。「一つひとつのステップに根拠があるので、患者さんも安心できます」
700人超の信頼、多様化するニーズ
同社はこれまでに700人を超える海外患者にサービスを提供してきた。福田社長によれば、国際患者のニーズはもはや重い疾患の治療にとどまらず、人間ドック、がんの早期検診、心血管・脳血管の検査、セカンドオピニオン、治療後の長期フォローアップにまで広がっている。
連携先には国立がん研究センター、がん研有明病院、順天堂医院、国際医療福祉大学三田病院などが名を連ねる。重い疾患の患者は専門病院の受け入れ条件や治療の選択肢、病状評価について、健診目的の利用者は検査項目の選定、日程調整、結果の解説、その後の健康管理について、それぞれ支援を受けられる。

セカンドオピニオン――医療情報が患者より先に動く
新たな潮流として福田社長が挙げるのが、セカンドオピニオンだ。「以前は、まず海外に渡らなければ現地の医師の意見を聞けませんでした。今は既往の診療記録や画像検査、治療記録を提出すれば、出発前に日本の医療機関の専門的な評価を得られます」
医療情報が患者より先に国境を越えることで、渡航受診の必要性や実現可能性を判断しやすくなる。一部のがんや神経系疾患など複雑な症例では特に有効だという。「医学資料の正確な翻訳、患者さんのプライバシー保護、そして日本の病院との円滑なコミュニケーション。これこそがサービス品質の核心です」
専門性と正確さを守り抜く
AIによる画像診断支援、高精度放射線治療、分子標的薬、免疫療法、再生医療など新技術が相次ぐなか、福田社長は、コーディネート機関は最先端の研究、臨床試験、確立された治療法を患者が見分けられるよう支え、各病院の専門性と実際の受け入れ条件を伝えなければならないと強調する。「利便性だけでなく、医療情報の真実性・正確性・適合性を保証することが欠かせません」
今後については、病院予約、通訳・翻訳、渡航手配といった従来のサービスを基盤に、セカンドオピニオン、医療コーディネートのデジタル化、長期的な健康管理へと事業を広げていく考えだ。「この15年、専門性と医療機関との規範ある連携によって信頼を得てきました。これからもこの道を歩み続けます」



