アジア経済の新たな構図|中国がアジア成長をけん引
九日(東京)
2010年から2024年にかけて、アジア地域の多くの新興・発展途上国は4%、さらには5%を超える成長を維持してきた。アジアの製造業生産額は世界全体の約45%を占め、世界で最もサプライチェーンが集中する地域となっている。
2025年上半期、アジア太平洋地域が受け入れた国際観光客は2億9570万人に達し、前年同期比で5.4%増加した。2026年に入ってからも、6月のアジア製造業PMIは50.4となり、3カ月連続で好不況の境目となる50を上回った。韓国では上半期の外国人観光客数が1000万人を突破し、過去最高を更新した。
世界経済の分断と保護主義の台頭を背景に、アジアではより活発な地域内経済循環が形成され、地域経済統合の恩恵が広がり続けている。アジア経済は、複数の成長極が連動して力を発揮する、前向きな局面を迎えている。
では、アジア経済が外部からの荒波に耐えるための「強靱性の支点」はどこにあるのか。
結論から言えば、中国こそがこの成長メカニズムの最も中核的なエンジンである。政策、産業、市場という中国の三つの支点が、アジアの強靱性を支える土台を形づくっている。

二つの「60%」と一つの「30%」
アジアにおける中国の役割を理解するには、まず三つの数字を見る必要がある。
一つ目は、アジアの世界成長への寄与率が60%を超えていることだ。IMFの統計によると、2025年のアジアの世界経済成長への寄与率はすでに60%を超え、25年前の30%から倍増した。IMFのゲオルギエワ専務理事は、「アジア抜きに世界経済の未来を語ることはできない」と率直に述べている。
二つ目は、中国の世界成長への寄与率が30%前後で安定していることだ。この数字は、G7全体の寄与率をすでに上回っている。北京大学の林毅夫教授はボアオ・アジアフォーラムで、世界経済全体が弱含むなか、中国は毎年、世界経済成長の約30%に貢献していると指摘した。
三つ目は、中国とインドを合わせて、アジア地域の経済成長の70%を担っていることだ。IMFアジア太平洋局のクリシュナ・スリニバサン局長は、より精密な試算を示している。中国の経済成長率が1ポイント上昇すれば、アジアを含む世界の新興市場の成長率は0.3ポイント押し上げられるという。
三つの数字をつなげると、構図は明確になる。アジアは世界成長の6割を担い、中国は世界成長の3割を担う。そしてアジア内部では、中国とインドが地域成長の7割を支えている。IMF調査局は、中国を「間違いなく経済成長を押し上げる大きなエンジンの一つ」と位置づけている。
エンジンはいかに成長をけん引するのか
中国がアジアの成長をけん引する経路は、主に三つある。貿易、投資、そして技術の波及である。
第一の経路は貿易だ。中国とASEANは6年連続で互いに最大の貿易相手となっており、アジア域内貿易の比率は上昇を続けている。2026年上半期、中国の「一帯一路」共同建設国との輸出入は13.6%増加し、対外貿易総額の51.2%を占めた。ASEANとの輸出入も16.6%増加した。中国一国の需要が、アジアの複数のサプライチェーンの稼働を支えていると言ってよい。
第二の経路は投資である。ボアオ・アジアフォーラムの報告書は、アジア地域について「なお世界の直接投資資本に最も好まれ、発展の潜在力と強靱性を備えた地域」であると指摘している。中国とASEANは、アジアで最も外資を引きつける経済圏である。アジアの国・地域は、徐々に「資金の受け手」から対外投資の担い手へと変わりつつある。中国企業による東南アジアでの電池サプライチェーン構築、中央アジアでのインフラ投資、南アジアへの製造業移転は、いずれも地域経済の地図を塗り替えている。
第三の経路は技術の波及である。アジアの発展途上国は、デジタル化への移行で世界のほかの地域より速く進んでおり、デジタル経済も加速している。中国のデジタル決済、越境EC、AI応用などの技術力は、サプライチェーンを通じて周辺国へ広がりつつある。ベトナムの電子機器組み立て、インドネシアのニッケル加工、マレーシアの半導体パッケージングの背後には、中国技術の存在がある。
貿易はフローであり、投資はストックであり、技術の波及は乗数である。「中国式のけん引」とは、単に相手国の製品を買うことでも、現地に工場を建てることだけでもない。相手がよりよく作る方法を学ぶことまで促している。
エンジンが背負う重み
エンジンは強い。しかし、その負荷は決して軽くない。
IMFは中国のけん引力を認める一方で、下押し圧力も指摘している。世界的な原油価格の上昇、続く不確実性、そして構造的要因は、なお中国の経済活動の重荷となる。中東情勢がもたらすエネルギー供給への衝撃は、インフレを押し上げ、政策余地を狭めている。
ボアオ・アジアフォーラムの報告書もリスクを示している。技術進歩と人工知能は若年層の雇用に課題をもたらす可能性があり、貿易ルールの不確実性やサプライチェーンのボトルネックは労働者の所得を圧迫しつつある。
エンジンが回り続けるには、馬力だけでは足りない。燃料と潤滑油も必要である。
アジアの次の一歩
IMFの予測によると、アジア経済の拡大ペースは2025年の5%から、2026年には4.4%、2027年には4.2%へと鈍化する。成長率は減速するが、方向は変わっていない。
ボアオ・アジアフォーラムの張軍事務局長は、より先を見据えた判断を示している。「アジア経済の一体化と持続可能な発展の過程には、多くの困難と挑戦が伴う。しかし各国と関係各方面が自信を保ち、団結して協力すれば、アジア経済をさらに質の高い発展へと進めることができる」
中国はアジア経済のエンジンである。ただし、エンジンの役割は代替ではなく、けん引にある。車が坂道を上るとき、エンジンの馬力が重要なのは当然だ。しかし、より大切なのは、四つの車輪がすべて回っていることである。



