施設編 新設しないという選択 国際大会は都市に何を残すか
【東京=万戈】
2026年9月14日、2027年第33回冬季ワールドユニバーシティゲームズの選手団長会議が長春で開幕した。23カ国・地域の代表が長春市と吉林市で競技施設や運営体制を視察した。2027年1月15日の開幕まで100日余りとなり、主要施設の改修率は9割を超えた。
しかし、10日間の大会そのもの以上に問うべきことがある。大会後、都市に何が残るのか。競技施設は長く使われる都市資産にも、財政を圧迫する白象にもなり得る。その運命は改修計画を決めた時点で、すでに大半が決まっている。
長春の答えは新設しないこと
競技・練習施設は長春10カ所、吉林2カ所の計12カ所で、すべて既存施設を改修する。単独で孤立する施設や重複投資を避ける。吉林省スピードスケート館、吉林省スケート館、長春五環体育館はいずれも、過去に大規模大会を開催した実績を持つ施設だ。浄月潭スキー場ではバーサ・スキー・フェスティバルのコースを引き続き使用し、恒久建物を増やさない。また、防火道を冬は競技、夏は森林保全に活用する。
国際大学スポーツ連盟(FISU)の申震最高スポーツ責任者は、既存施設の改修はFISUの持続可能性戦略に合致すると評価した。新設しないことは国際大会の主流になりつつある。
サッカーW杯の軽量改修
2026年北中米ワールドカップは史上最大規模だったが、競技場はほぼ新設されなかった。米国の11会場はその多くがNFLまたはMLBの本拠地、カナダはプロ競技場を再利用、メキシコは過去のW杯施設を活用した。仮設席、VIP室、警備・交通などを必要な範囲だけ改修し、入場率は99.6%、FIFAの収入見通しは過去最高の約89億ドルとなった。
バンクーバーのBCプレイスは大会後、天然芝と人工素材を分別して回収した。ボストンの施設は、新設した観覧棟の屋上を大会後に市民へ開放する。「新設しない」の本質は節約ではなく、埋没費用を回収可能な資産へ変えることだ。既存施設なら、大会後もプロスポーツ、コンサート、地域スポーツへ低コストで戻せる。
冬季五輪の仮設という発想
ミラノのスピードスケート会場は世界初の仮設リンクで、大会後は設備をすべて再利用し、製氷システムも別施設へ移設できる。また、大会後に仮設リンクは展示場へ戻る予定だ。コルティナのスライディングセンターは国際大会と合宿施設として継続利用する。ポルタ・ロマーナ地区の選手村は鉄道操車場跡地に建設され、大会後は学生寮と複合市街地になる。既存または仮設リンクは全体の85%を占めた。
新設しないだけでは足りない
成都の鳳凰山スポーツ公園は2023年以降、600件を超える催事を開き、来場者・利用者は460万人超、興行収入は約21億元、関連経済効果は143億元超に達した。週間稼働率は80%以上だ。北京冬季五輪の延慶会場は36日でオリンピックパークへ転換し、120万人を集めた。深圳ユニバーシアードセンターは官民連携のROT方式で自立運営を実現した。
大会後の総合稼働率を70%以上に保てるかは、施設遺産の成否を測る一つの目安になる。長春は市民と青少年へ開放し、訓練、競技、地域スポーツに使う方針だ。ただし「市民へ残す」と「市民が実際に使う」の間には、開館時間、料金、教室、催事誘致などの運営制度が必要になる。
施設遺産を設計段階から管理する
パリ2024大会では、展示場を競技会場へ転用し、大会後は会議・展示機能へ戻した。ポルト・ド・ラ・シャペル・アリーナは地域のスポーツ文化拠点へ、水泳センターは規模を縮小して一般向け複合施設へ転換した。共通するのは、大会後の利用方法を設計図に最初から織り込み、大会時には拡張し、大会後には縮小できる可逆設計である。
長春が次にすべきこと
必要なのは三点だ。第一に日常運営の責任主体を明確にし、深圳のROT方式や成都の「商業・施設・エリア」一体型モデルを参考にする。第二に、競技だけでなくコンサート、商業、地域活動を組み合わせる。第三に、市民開放の日程、料金、教室、催事計画を制度として定める。
施設の価値は大会中の華やかさではなく、大会後にどれだけ役立つかで決まる。長春は「新設しない、重複させない、孤立させない」という前半を書き終えた。後半はこれからである。



